滋賀県理容組合(宇野 臣一 理事長)は、2023年12月4日 (月) 午前10時よりクサツエストピアホテル (草津市) において、『税務講習会 電子帳簿保存法対策セミナー ~法改正に向けた実務対応について~』、『滋賀県理容生活衛生同業組合 生活衛生活性化塾』を開催しました。
電子帳簿保存法対策セミナーでは、税理・行政書士 滋賀県立大学講師 小川 宗彦 氏を講師にお迎えして、平成10年から施行されている電子帳簿保存法が令和4年度改正で要件を緩和すると同時に一部義務化され、令和6年1月1日より施行されることについての概要を学びました。
▽正式名称「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」
電子帳簿保存法上、電磁的記録による保存は大きく3種類に区分される
(1)電子帳簿等保存 [任意]
パソコン等を使用して作成した帳簿や取引書類を電子で保存し、紙保存を不要とする制度
※電子帳簿は「優良」と「その他」の2種類に分かれており、要件や優遇措置などが異なる。どちらを選ぶかは事業者の任意事項。
(2)スキャナ保存 [任意]
取引相手から受け取った書類等を画像データ化して保存し、紙保存を不要とする制度
(3)電子取引保存 [義務]
メールやWEB上でやり取りした電子ファイルをデータで保存することを義務付ける制度
※電子取引の電子保存の義務化は、やむを得ない事情があれば2年間は猶予される。
電子帳簿保存法は、規模の大小を問わず、法人、個人事業主の全てが対象です。
小川宗彦税理士・行政書士事務所
小川 宗彦 氏
税理士 滋賀県立大学非常勤講師 行政書士
経済産業大臣認定経営革新等支援機関
日本簿記学会所属
[役職]
近畿税理士会公益活動対策部員
滋賀県税理士協同組合理事 (業務推進担当)
滋賀県行政書士会経営部員・市民法務部員
大津商工会議所小規模企業振興委員
竜王町役場公の指定管理者選考委員
一般社団法人滋賀県建築住宅センター監事
ひきつづき『生衛活性化塾』では、 (公財) 全国生活衛生営業指導センター 研究員 桑原 廣美 氏を講師に迎え、「生衛法は、生衛業、生衛組合に関する基本法」「生衛法と生衛組合の成り立ちと歩み」「地域における生衛業、生衛組合の役割」をテーマに講演いただきました。
生衛法(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律)が立法・公布される歴史的背景、改正されながらも現代の日本に必要不可欠な法令である理由を、当時の資料をもとに詳しく解説いただきました。
生衛業である理容業 (理容組合) にとって、生衛法は生活衛生同業組合の自主的な活動を促進することで、衛生施設の改善向上、経営の健全化 (近代化) 、振興を通して衛生水準の維持向上とお客様 (利用者・消費者) の利益を擁護することとし、我が国の公衆衛生の向上・増進、国民生活の安定を目的としています。
理容業においては、明治34年3月に警視庁が理髪営業取締規則にのっとり、各警察署単位に理髪組合を作るように指示し「組合に加入すること非ざれば、営業に従事することを得ず」と組合へ強制加入させました。その後、戦後になって生衛業の組合は厚生省に所管を変更され (昭和22年) 、お上からの抑圧から指導・助言の公衆衛生行政へと変わりました。
時を同じくして理容師法が昭和22年に制定され (同年独占禁止法も制定) 、この法律によって「理容師・美容師の業務独占」を定め、理容師、美容師の社会的地位を確立することとなり(このころは理容、美容は一本の法律とされていた)、昭和26年の改正で名称が理容師・美容師法と改められ、昭和32年の改正で理容師法、美容師法のそれぞれ単独法となりました。
戦後の統制経済から自由経済への移行に伴って、生衛業は就業者数等が著しく増加し、昭和20年代後半になると低料金や低賃金、長時間労働などが拡大し、激しい顧客の争奪戦で競争が激化。過当競争 (不正常な低料金) 時代を迎えることとなりました。
過当競争による正常な経営が阻害されるようになると、衛生措置の低下が憂慮される事態となって社会問題化し、業界に何らかの法的規制の声が高まり、昭和32年6月になってようやく「環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律 (環衛法) 」が公布され同年9月2日に施行。環境衛生関係営業 (生衛業) について、衛生水準の向上を図るため営業者の自主的活動を促進させるとともに経営の安定を図るための措置を講ずることが出来るようになり、料金や営業方法の協定について独占禁止法の適用外とされました (適正化規定) 。この適正化規定の実施により、生衛業の経営は安定しました (平成10年までに適正化規程は廃止) 。
平成12年4月に環衛法は「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律 (生衛法) 」へと名称が変更され、その目的に生衛業の振興を図ることを追加し、バブル崩壊後の長期不況下で生衛業が発展していくため、時代のニーズに対応した法改正を実施しました。
理容師、美容師の「業務独占」の規定は、公衆衛生の維持向上の使命を負って業務を行うための免許制度で、この制度の下で消費者の安心・安全が確保されていることを忘れてはなりません。
そのためには、組合の有する業界代表機能を発揮できるよう、各組合・支部における不断の組織基盤強化活動の実施がもとめられていること。今、自組合・支部がどのような状況にあるかを認識し、「生衛組合はなぜ必要か?」「10年先、20年先はどうなるか?」をみんなで考え、みんなで必要な行動を開始することが必要であることを確認しました。
※ 毎年11月は「生活衛生同業組合活動推進月間」です ※
講師
公益財団法人 全国生活衛生営業指導センター
研究員 桑原 廣美 氏
谷本 義広 氏
公益財団法人 滋賀県生活衛生営業指導センター
専務理事
開講の挨拶
宇野 臣一 理事長
税務講習会司会
北條 利幸 経営相談部長
生活衛生活性化塾司会
小菅 利裕 副理事長
また、標記セミナー終了後、午後1時より令和5年度 第5回理事会が開催され、理事長からの報告事項および協議事項をはじめ、総務部、経理部、経営相談部、共済部、教育部、組織部、営業支援事業推進委員会、事業部、文化広報部各部長からもそれぞれが示され、慎重に協議のうえ承認されました。
また、滋賀県理容美容教育協会理事会、滋賀県理容政治連盟執行委員会が開かれ、それぞれの協議事項についても慎重に協議のうえ承認されました。
早朝からご出役いただいた関係者の方々には大変お疲れ様でした。